日時:2016年1月13日(水)

場所:早稲田大学西早稲田キャンパス 55号館1F大会議室
主催:プロジェクト「認識の数理モデルと高階・多層確率場による高次元実データ解析」
   科学技術振興機構 (JST) 戦略的創造研究推進事業 (CREST)
   研究領域「現代の数理科学と連携するモデリング手法の構築」平成26年度採択研究課題

終了しました。

参加費無料ですが、人数把握のため、参加希望の方はこのフォームより登録をお願い致します。

 

概要

ディープ・ラーニング・ブームといってよい状況がしばらく続いていますが、深層学習は今後もビジョンなどの高次元データ解析における必須技術になるのは間違いありません。しかし、どうしてそれがここまで使えるのかという理解は未だ難しく、その改良は試行錯誤の域を出ません。一方、高次元確率モデルとしての理論的見通しがより明確な確率場は、多層ニューラルネットの学習を可能にした学習アルゴリズムの元であるとともに、ニューラルネットで直接学習しにくい確率モデルを組み込むため、それと組み合わせて使われています。本シンポジウムでは、それら最新の技術を第一線で研究している研究者の方にお集まりいただき、最新の動向についての講演と気軽な議論を通じて、多くの断片的な知見の交換から今後の統合的理解をめざす場を提供します。

 

プログラム

 9:15  (受付開始)  
 9:45-10:45 岡谷貴之(東北大) ディープニューラルネットの理解へ向けて:畳込みネットを中心とした議論
10:45-11:45 牛久祥孝(NTT) 画像キャプションの自動生成
11:45-13:00  (休憩)  
13:00-14:00 谷合竜典(東大) 画像領域・対応点推定問題へのグラフカットの適用
14:00-15:00 櫻田 健 (東工大) シーンモデリングにおける畳み込みニューラルネットワークの応用とその課題
15:00-15:30  (休憩)  
15:30-16:30 齋藤真樹(東北大) 確率場の効率的な学習と深層学習への応用
16:30-17:30 中山英樹(東大) 深層学習と機械知覚

 

交流会

シンポジウム終了後に交流会を予定しています。参加希望の方は上のフォームより登録してください。定員に達し次第締め切らせていただきます。

場所:早稲田大学56号館地階カフェテリア(予定)
費用:1000円

 

講演概要

牛久祥孝(NTT)「画像キャプションの自動生成」スライド

画像の内容を言葉で表現する画像キャプション自動生成技術は、2010年代に研究が始まった萌芽的な研究課題である。計算機のより柔軟な画像理解を実現する重要な取り組みだが、コンピュータビジョン分野と自然言語処理分野それぞれでのチャレンジングな課題を内包する複合的な研究課題でもある。本講演では、この課題に対する一連の取り組みについて、その歴史的な流れとアプローチを整理しながら概説し、動画へのキャプション生成や視覚的チューリングテストなどの派生研究についても紹介する。

谷合竜典(東大)「画像領域・対応点推定問題へのグラフカットの適用」スライド 講演者HP

本講演では、マルコフ確率場のMAP推定問題をエネルギー関数の最小化問題と捉え、中でも画像領域推定(セグメンテーション)と対応点推定(ステレオマッチング)問題を例に、グラフカットを適用して近似的に解く手法を紹介します。セグメンテーションの例では、2値変数による高階エネルギー関数の最小化問題に対して、高階関数を1階の関数で近似して反復的に最小化するアプローチを紹介します。ステレオマッチングの例では、変数が連続値をとるような広いラベル空間を持つモデルに対して、効率的な最適化手法を提案します。最後にこれらの発展として、領域推定と対応点推定を同時に行う手法を提案します。ここでは、画像領域を階層的な構造でモデル化しており、深層学習との関連が期待されます。

櫻田 健 (東工大)「シーンモデリングにおける畳み込みニューラルネットワークの応用とその課題」スライド

本発表では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)のシーン画像を対象とした研究と,我々が取り組んでいる都市の4次元モデリングへの応用を紹介します.多くのタスクで記録を更新しているCNNは,物体認識だけでなく,ローカリゼーション,特徴点マッチング,単眼デプス推定,ステレオマッチング,視点補間など,シーンをモデリングする問題にも幅広く応用されています.これらの研究におけるネットワークや学習データの構築方法を考察しCNN応用の知見を広げます.さらに,我々のCNNの応用例として,街並みの変化を可視化するためのシーン変化検出手法を紹介します.

齋藤真樹(東北大)「確率場の効率的な学習と深層学習への応用」スライド

マルコフ確率場は確率変数間の相関関係を記述することで高精度に推定解を求める確率モデルの一つであるが,その課題の一つとして,その相関関係を表現するパラメータの学習が比較的遅いことが挙げられる.本講演では,マルコフ確率場の学習を効率的に行うためのアプローチを複数紹介した後に,その応用例として,マルコフ確率場と深層学習を組み合わせた最新の取り組みについて解説する.

中山英樹(東大)「深層学習と機械知覚」スライド

深層学習が画像認識において衝撃的なブレークスルーを起こしてから既に久しく、現在も日進月歩で更なる性能向上やさまざまな応用アプリケーション の開発がなされている。本講演では最新の研究動向を踏まえながら、動画像からの物体検出や、画像・言語マルチモーダル検索など、研究室で取り組ん でいる深層学習の応用事例について紹介を行う。